損をして覚える株式投資 (PHP新書)



損をして覚える株式投資 (PHP新書)

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参考価格:¥ 714 (消費税込)


戦後の株式投資経験を中心に気軽に読める一冊
タイトルのつけ方はうまい。著者は高度経済成長期に株でかなり儲けたようだが、特に投資について学ぶ過程でいろいろ失敗もしている。成功したことだけでなく、失敗したことも含めてざっくばらんに株についての経験を振り返りながら語っているというスタイルになっている。

行間も開いており、実際の分量は少なく、専門用語もあまり出てこなくて気軽に読める。投資の勉強というより、成功した一人の投資家のちょっとしたエッセイ風の一冊として割り切って読むと良いだろう。個人的には、忍耐の重要性を説くところは特に感銘を受けた。でも、忍耐だけでも結果が出ないのが株式投資の難しいところなのだが。あと、株式投資のプロなんていない、というところも興味深く読めた。

尚、この著者は近年は低成長期に入った日本株で儲けるのは難しい、成長している国に投資するのが良いということを主張している。それは正しい見方なのだが、一方で海外の会社に投資するためのより正確な情報を日本にいながら掴むのはかなり難しいという事実もあり、さらにより具体的なアドバイスがあればよかったと思う。

株式投資に関しての基本スタンスが書かれている
株を始めたばかりの人、長く株をやっている人で初心を忘れてしまった人に、株をする上での基本スタンスみたいなものを、著者の株投資にまつわる長い経験と独自の見解から描いている。
株を行う上での難しい用語や数式などはなく、成功も失敗も含めて著者の体験談をエッセイ風に書いているので、株に関して知識が全くなくても面白く読める。
WEB上で著者のサイトがあるが、内容がそこに書かれてあることと重なることも多かった。

ただ、著者が台湾出身であることとも関係しているのかもしれないが、この本に限らず全体的に著者の思考や思想が中国びいきなのも拝めない。
例えば、本文中にインドやヴェトナムなど中国以外にも投資対象となるアジアの国はあるはずなのに、それを一辺倒に否定して『中国のみだ』としていることなど、理由も無く決め付けている所もあり、読んでいて何でそういう意見になるのかと疑問に思う箇所が何ヶ所かあった。

とはいえその点を考慮しても、堅苦しい表現や専門用語などを使わず、読者に状況や背景をイメージさせ、飽きさせない文体は、『流石直木賞を受賞した著者』と思わせる所ではあり一読に値する。


株の面白さを語る初心者向けの本
想定読者をはじめに決めて書かれていると思います。想定読者は株を始めたばかりで、株を通して見えるいろいろな経済の変化が面白くなってきて、さらに自分で理解のできる損をし始めた人たちです。そういう人たちに手にとってもらえるようにうまいタイトルがつけられています。

自慢話と決め付けが随所に見られますが、それを割り引いてもとてもわかりやすく読みやすい内容になっています。株で損をするのは当たり前のことなのですが、そういう苦い経験とその経験を基にした成長があってこそ、安定的に利益を上げられるようになります。

面白い失敗談とそこから得られた教訓が70ページあたりにあります。自分が調べて間違いないと思って購入した株をその道の大先輩の一言ですべて売ってしまうのです。その後、自分で選んだ株が暴騰してしまいました。ここで得られた経験として、

1.株でもうけようと思えば、「初志を貫くこと」

2.「忍耐には忍耐を重ねて途中で投げ出さないこと」

です。同じような例も他に出てきますが、徹底的に調べてこれだと思ったら、雑音に耳を貸さずにその道を行けばいいということは、株の世界に限らず通じるものがあると思います。反対に、表面上の情報に踊らされているうちは、大きな成長はないということです。


株式は精神修行の場
株を買う事は誰にもできるが株を安定した財産とするには時間と修行が必要である。
長年株式投資をやっている人は、多くの失敗と経験を繰り返し、そのプロセスの中で自分なりの投資スタイルを築いているものである。

株式投資で利益を得た時より、損した時の方が色々と学ぶ事ができ、その壁をのり超える事によりスキルアップしていくものである。そしてたいがい思惑は、外れる。だが、たまに当たる。
宝くじ、競馬、パチンコに似ているかもしれない?

株式投資をする前とした後では、株に関するイメージも変化する。経験を積んでいくと、株式投資は
損をして覚えるものだと思うようになり、損する事なしに利益を出し続ける事はできないと感じる。
資産運用をリスクをコントロールしながら、やっていく。損益書を作成する。

投資する事で利益を生み出す事ができる。企業もまたそうなのだと考えるようになり、物の視点も変化していく、そして、損という壁をのり超える事で精神修行にもなっている。これが株式の醍醐味でもある。

(この本は、やよみやすいので、株に対して悪いイメージや損する事に抵抗のある人にはお勧めである。)

邱永漢、年老いたり!
素晴らしい本で、投資に関するダイヤモンドのような警句に満ちている本なのですが、いただけないところが3つある。一つ目は「これからは日本ではない。中国だ」とやたらと中国投資を煽る点。共産党一党独裁の専制国家が日本より未来があるかのごとき吹きまくる著者の姿勢は「あばたもえくぼ」以外のナニモノでもない。2つ目は「どうしてそんなに中国、中国というのですか。インドもあるじゃないですか。ベトナムもあるでしょう」という極めてまっとうな疑問を「ただの思いつき」だの「真剣に投資を考えている人は、中国株投資で頭がいっぱいで余計なこと(インド、ベトナムなど)には頭が回らないはず」なんて、トンデモないことを言う点。三つ目はバブルで日本人が海外不動産投資に失敗したことを、あたかも島国国家日本のDNAに原因があるかのごとき妄説を偉そうに吐き散らかしている点。バブルはアメリカにもあったし英国にもあった。フランスにもあったし、オランダにもあった。みんな海外投資に失敗して大損している。中国人だって大損している。そもそも中国人が4千年の歴史的経験を積んだしたたたかな賢い民族なら、共産主義国家に転落することもなかったし、日本に侵略されることもなかったろうし、欧米に半植民地化されることもなかったでしょう。文化大革命なんてヴァカな政策も取らなかったでしょうし、大躍進政策なんてしなかったでしょう。「世界は常に中国を中心に回っている」とシナ人である邱永漢が思うのは勝手だが、説得力は全くないことも知っておくべきだな。邱も老いたということか。




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